2025/4/21 事務長の独り言38
在宅医療(以下「訪問診療」という。)を始めるまでの流れについて
良く患者さんから「さんさんクリニックで訪問診療を受けるまでの手続が分からなかった。」という声をお聞きします。今回、その流れについてお話しします。
まずは、患者さん又はその御家族からの相談です。直接相談に来られる方で一番多いのは、
〇現在、さんさんクリニックで訪問診療を受けている患者さんが、他の患者さんへ当院を紹介をした
ケースです。その場合、ある程度、訪問診療を受けている患者さんから当院の情報を他の患者さんは得ていますので、スムーズに訪問診療へ移行します。次に多いのは、当院の事務所看板をみて相談に来られるケースです。看板に訪問診療の内容が印刷されていますので、訪問診療に興味がある方が来られますので、訪問診療の流れやもろもろのサービスの内容などを説明したりしています。
次は、ケアマネさんからの紹介です。現在、要支援や要介護の指定を受けている方にはケアマネさんが付いていますが、そのケアマネさんが通院ができないと判断されたり、御家族から訪問診療を依頼され、当院を紹介してきます。えびの市内のケアマネさんは、当院ができたことで、訪問診療には詳しい方ばかりです。ですので、このケースもスムーズに訪問診療へ移行していきます。
次は、病院やクリニックからの紹介です。主にえびの市外の病院等が多いのですが、自院の患者さんを自宅へ帰す際、又は、医師が訪問診療が最適と判断した場合など、患者さんを紹介されます。
最後は、自治体からの紹介です。えびの市や小林市、湧水町などの自治体の包括支援センターから、自宅から出ることが困難で、かかりつけ医がいないという理由で紹介を受けます。
以上、お話してきましたが、皆さんの大切な方が、なんらかの事情で訪問診療が必要になった、必要となるかもしれないと思われたら、当院へ遠慮なく御相談ください。
2025/4/1 1 事務長の独り言37
認知症施策への国等の取組について
今回は、認知症施策のこれまでの主な取り組みについてお話しします。
①平成12年に介護保険法を施行>認知症に特化したサービスとして、認知症グループホームを法定。介護保険の要介護(要支援)認定者数は、制度開始当初218万人から3倍の644万人(2018年)に増加。要介護となった原因の第1位は認知症。
②平成16年に「痴呆」から「認知症」へ用語を変更。
③平成17年に「認知症サポーター」の養成開始。
④平成29年に介護保険法の改正>認知症に関する知識の普及・啓発。心身の特性に応じたリハビリテーション、介護者支援等の施策の総合的な推進。認知症の人及びその家族の意向の尊重 等
⑤令和2年に介護保険法の改正>「認知症」の規定について、最新の医学の診断基準に則し、また、今後の変化に柔軟に対応できる規定に見直される。
⑥令和5年6月「共生社会の実現を推進するためのの認知症基本法」の成立
⑦令和5年9月「認知症と向き合う幸福社会実現会議」の設置
上記のとおり、大きな事柄のみ列挙しましたが、国も「認知症」の方が住みやすく町つくりを目指し、法改正を重ねてきております。私自身も全くの勉強不足で理解しておりませんが、さんさんクリニックとして国の指針に沿った取り組みを意識して、取り組んでいきたいと考えています。
2025/4/7 事務長の独り言36
自宅で看取ることについて3
今回は、久しぶりに自宅で看取ることについて、これまで訪問診療をしていて強く感じたことをお話しします。
訪問診療していますと、亡くなる最後は病院でという方が、まだまだ多くいらっしゃいます。ある意味これは当然のことで、これまでは患者さんの容態が悪化すると、病院に患者さんを搬送して、そこでお亡くなりになれば(病院へ入院中の方も同様)、病院で死亡確認を行い、自宅か葬儀場へ搬送するという流れでしたし、それしか選択肢が無かったからです。
訪問診療していますと、患者さんの意向を酌んだその御家族が、訪問診療してくれる医療機関がないか、必死に探して当クリニックに連絡してきてくださるケースが多くあります。当クリックの宣伝不足もあり反省するのですが、非常に有難いことです。そして、患者さんがお亡くなりになり、御自宅でお看取りを行い、患者さんへお別れを告げ、御家族へ訪問診療へ協力して頂いた御礼を言うのですが、御家族から何度も「本当に自宅で看取れて良かったです。(故人と)こんな良いお別れができるとは思ってもみませんでした。」と言っていただけます。その言葉を聞き、患者さんとのお別れは私達も悲しく寂しいのですが、「少しは患者さんとその御家族のお役に立てたのかな」という思いが沸き上がり、やる気に繋がります。
まだ当クリックは開業して日が浅く、広く周知されているとは全く思いませんが、少しでも在宅医療を受けたいという患者さんやその御家族の目や耳に届くよう在宅医療を続けていきたいと考えています。
また、当クリニックが患者さんと会えるのも、日頃、御協力をいただいているケアマネさん、訪問看護ステーションさん、連携している医療機関さん、その他多くの関係者の方のお陰です。ここで改めてお礼を伝えます。
※毎回、思いつきで掲載している関係で、予告と違うことをお話しすることをお許しください。
2025/3/15 事務長の独り言35
認知症サポート医の役割について
「事務長の独り言33」で当クリニック医師が認知症サポート医として「みやざきオレンジドクター」」として登録されたことをお話ししました。
今回は、このサポート医の役割について、数回に分けてお話しします。
まずは、今後の高齢者の人口推移について説明します。2025年(事務長の独り言24参考)には、団塊の世代が全て75歳となり、その比率が全人口の約18%になります。2040年には人口が1億1092万人に減少しますが、65歳以上は全人口約35%となります。75歳以上の人口推移は、介護保険創設の2000年以降、急速に増加してきましたが、2025年までの10年間も急速に増加すると予想されています。85歳以上の人口は、2015年から2025年までの10年間、75歳以上の人口を上回る勢いで増加し、2035年頃まで一貫して増加すると予想されています。
次に認知症の将来の推計についてです。2012年有病率調査では、65歳以上で、認知症・軽度認知障害(MCI)の全高齢者に占める割合が28%(認知症15%・MCI13%)でした。2022年実施の有病率調査では、ほぼ変わらない27.8%(認知症12.3%・MCI15.5%)でした。ただ、高齢者の数は増えていますので、2012年では、認知症だけをみますと462万人(MCI400万人)だった患者さんは、2022年では、443万人(MCI559万人)と予想され、また、今後も有病率が一定と仮定した場合、2040年の認知症の高齢者は584.2万人(MCI患者は612.8万人)と推定されています。
※軽度認知障害(MCI)とは➡もの忘れなどの軽度認知機能障害が認められるが、日常生活は自立しているため、認知症とは診断されない状態
次回は、認知症施策への国等の取組についてお話しします。(資料参照:国立長寿医療研究センター)
2025/3/13 事務長の独り言34
在宅酸素療法について
本日は、在宅医療で行う治療法の一つであります在宅酸素療法についてお話しします。
在宅酸素療法は、主に慢性的な呼吸器疾患や心疾患の患者が、自宅で必要な酸素を供給される療法です。
この治療法は、血液中の酸素濃度を正常に保つことで、患者の健康状態を改善し、日常生活の質を向上させることを目的としています。
酸素は、特殊な機器を用いて供給され、患者は必要に応じて自宅で使用します。酸素濃度が低下すると、体がさまざまな症状を引き起こしますが、在宅酸素療法を利用することで、活動的な生活を送ることが可能になります。
例えば、睡眠中の酸素供給、日中の活動時の酸素補給などがあり、患者は自宅内でリラックスしながら生活することができます。この治療法は、医師の指導のもとで行われ、定期的なモニタリングが必要です。適切な使用により、患者は自分のペースで生活することができ、家族とともに過ごす時間を確保することができます。
在宅酸素療法は、主に血中酸素濃度が低下する疾患に対して適用され、代表的な疾患には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫、肺炎、間質性肺疾患、心不全、神経筋疾患などがあります。これらの疾患では、気道の閉塞や肺の機能障害が原因で、体内に十分な酸素を供給できなくなります。特にCOPDは、高齢者に多く見られ、進行すると酸素治療が必要になります。
適切な酸素療法を受けることで、症状の改善や生活の質の向上が期待でき、また、正しく使用することで、患者にとって非常に意義のある治療法となります。
さんさんクリニックでも医師が必要と判断した場合は、このような治療法をご提案しております。
2025/3/5 事務長の独り言33
みやざきオレンジドクターについて
「認知症サポート医」や認知症患者への対応に意欲を持つ「かかりつ医」を「みやざきオレンジドクター」として宮崎県が登録・公表することで、県民にわかりやすい認知症の相談窓口として、早期診断・早期対応の実現、認知症の容態の変化に応じた適時・適切な医療・介護サービスの提供ができる仕組みを構築するものです。と宮崎県のホームページに記載されています。要するに、宮崎県が認めた認知症に関係する相談窓口ですよということです。
当然、オレンジドクターになるには要件があり、「認知症サポート医養成研修」や「かかりつけ医認知症対応力向上研修」といった認知症に係る専門の研修を受けた医師が登録されます。
オレンジドクターの役割は、①認知症に関する相談に応じる。②診察時に認知症の疑いを感じたら、専門医療機関への受診を促す。③専門医療機関への受診後も日常診療で本人や家族に寄り添う。④行政や地域包括支援センター等と連携する。ことなどです。
現在、宮崎県全体では323名の医師が登録され、えびの市では6人目になります。
在宅医療は、自ら通院できなくなった患者さんの御自宅等へ出向き診察等を行いますが、その多くが認知症やその疑いのある患者さんです。これからも認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指して、各取り組みを行っていきます。
2025/2/28 事務長の独り言32
認知症患者への理解について
事務長の独り言29・30では、認知症の症状や認知症が認められた際のサポートについてお話ししました。
えびの市が作成した認知症ガイドブックの表紙には、「認知症~早期発見・早期診断・適切な対応」と記載されています。
加齢とともにもの忘れが出てくることは仕方ないことで、周囲の方が、いかに早期発見し、早期診断につなげ、適切な対応を取ることで、患者さんとの向き合い方に気づき、それにより、自身や家族のストレスも軽減するものと思われます。実際に介護される家族の苦労と言うものは、計り知れない大変さがあります。「なんで自分だけがこんなに大変なんだ。なんで周囲はなにもわかってくれないんだ。」と感じたら自分の限界を超え始めています。介護は一人の方が背負うものではありません。適切な対応とありますが、介護者ができない部分(治療や身の回りの世話等)を介護保険を上手に活用し、行政や民間に任せることが大事です。
また、患者さんが自宅へ籠り始めたらこれも黄色信号です。近所付き合いや100歳体操、地域の行事を通じて多くの方と接することは脳の活性化に良いと言われています。「一人で悩まない」これが一番です。
さんさんクリニックは、このような方の相談に応じていますので、遠慮なくご連絡ください。
2025/2/15 事務長の独り言31
認知症患者と同居する家族の対応について
今回は、認知症患者と上手に生活されている家族のお話しをしたいと思います。(思いつきで書いていますので、予告と違いますがご了承を)
患者さんは、重度の認知症患者で、いつも笑顔で元気がよく、私達の訪問を毎回「誰け」と笑顔で迎え入れてくれる癒し系のおばあ様です。患者さんと同居されているのは娘さんお一人で、母親の認知症を強く感じた頃から同居を始めています。当初、娘さんは、直ぐに物事を忘れる母親に対して戸惑い、どうして良いか分からない中で、さんさんクリニックに相談に来られました。その後、ケアマネさんが、必要なサービスを提案していくのですが、ケアマネさんは家族の負担軽減に重きをおき、介護疲れを軽減する案を提示されました。その結果、週3回のディサービス、月1回の訪問看護、月2回の訪問医療で、御自宅で穏やかに、お二人は過ごされています。特に、娘さんは、緊急時に訪看さんやさんさんクリニックが駆けつけてきてくれるという安心感から当初の戸惑いや不安も無くなり、また、自分の時間も確保されたことから、自宅で母親と一緒にいる時は、笑顔の絶えない関係性を築かれています。
この様に、介護をする上で一番重要なのは、「一人に介護が重くのしかかる介護は失敗」ということです。行政や民間の力を借りて、負担が公平になるようにやっていくことが大切かと考えます。
2025/2/12 事務長の独り言30
認知症に対して本人や周囲が心掛けたいことについて
前回お話しした認知症の5つのレベルについて、それぞれのレベルで本人や周囲の方が心掛けてほしい主なことについてお話しします。
MCI(前回の独り言参照)➡生活習慣病の予防・改善、閉じこもり防止、低栄養防止、刺激のある生活、運動習慣の継続等
軽度➡公共料金などの支払いが滞らないよう手続支援、予定通り外出し、活動できるよう声掛け支援、郵便物の確認や文書管理手続支援
中等度➡家事のサポート、金銭管理の支援、悪質な訪問販売被害対策、一人で歩く時の対策や周囲への協力依頼
重度➡排泄の介助を必要とする場面と頻度が増えるため、家族が介護疲れをため込まないように周囲に相談したり、サービスの支援を活用する。
最重度➡寝たきりによる褥瘡予防、手足の拘縮の緩和・予防、コミュニケーションの工夫
以上、簡単ではありますが、最低限必要なことを列挙いたしました。まずは、認知症の疑いを感じ始めたら、早期に医療機関を受診し、患者さんがどのレベルにいるのかを早期に把握することで、対策も見えてくるかと思います。
次回もサポートについてお話ししていきます。「資料提供:えびの市地域包括支援センター」
2025/2/10 事務長の独り言29
認知症の症状とサポート体制について
認知症には、MCI(軽度認知機能障害)➡軽度➡中等度➡重度➡最重度の経過を辿ります。それぞれの症状について簡単に説明します。
MCIは記憶力の低下を自覚し、不安を感じたりします。軽度は、周囲も変化に気づき始め、会話を忘れたり、整理整頓が難しくなったりします。
中等度は、今いる場所や時間がわからなくなり、食事や着替えに介助が必要になります。重度は、身近な人を見ても誰なのか認識できず、笑顔も少なくなったりします。最重度は、歩行や座ることが困難となり、寝たきりになる場合もあります。
MCIは、正常友言えないが。認知症とも診断できるレベルではないグレーゾーンと言える状態を指します。
なお、ここに記載していることは、代表的なアルツハイマー型認知症の一例です。症状の内容や進行のスピードは、認知症の原因疾患や個人の状況によって異なります。あくまでも経過を見通す参考としてしてください。
認知症の診断を受けても、楽しめることやサポートがあれば、まだまだできることは誰にでもあります。本人が自信を失わずに過ごすためには、どのようなサポートが必要かを考えながら寄り添ってくれる家族や地域の環境づくりが大切かと考えます。
次回は、サポートについてお話ししていきます。「資料提供:えびの市地域包括支援センター」
2025/2/1 事務長の独り言28
あなたの周囲に、後期高齢者以上で、数年以上、医療機関を受診していない方はいませんか?
在宅医療では患者さんの御自宅を伺うことから、患者さんの生活の様子も確認することができ、それらを治療行為やその後の生活設計といったものの判断材料としています。今回のみだしは、「75歳以上の方で、数年来医療機関を受診していないという方を見聞きしたら、何か生活や体調で困っている方もしれないので、気を付けてください。」という趣旨になります。
医療機関を数年間受診していない理由として考えられる主なものとして、①経済的理由②病院へ連れて行く方がいない③SOSを発信する手段がない④適切な相談者がいない、相談機関をしらない、などが考えられます。年齢的なものを考えると、いずれの理由も生命に係わるもので、早期対応が求められる事案になります。
また、このような方の早期発見の一つとして、自然と自分の身の回りのことが出来なくなり、自宅庭や室内が荒れてきたりします。これらを一つの気づきのサインとして、御近所さんが悲しい結末を迎えないように、少し気にかけてみてはどうでしょうか。
私達もこの様な方と接する機会が多くあり、患者さんが1日でも健康で穏やかに自宅で過ごせる術がないか模索しているところです。
次回は認知症の症状とサポート体制についてお話しします。
2025/1/20 事務長の独り言27
医療用麻薬について
医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)は、癌などの強い痛みを効果的に抑える薬です。
医療用麻薬は医師の診断のもとで、癌の痛みを緩和する目的で使用されており、「麻薬及び向精神薬取締法」によって、医療用としてその使用が許可されています。これは、医薬品として製造・販売が承認されており、国の審査を受けて有効性や安全性が確認されているからです。医療用麻薬は「オピオイド鎮痛薬」とも呼ばれ、脳や脊髄にはオピオイド受容体が高密度に分泌していて、医療用麻薬に含まれるオピオイドと結合することで痛みを緩和します。(R6,12,12施行の「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」により、大麻草から製造された医薬品は、麻薬として麻向法の免許制度の下で適正に管理、流通及び施用が可能に。)
医療用麻薬には副作用として、悪心・嘔吐・便秘・眠気などがありますので、医療用麻薬を使用する際には、オピオイド鎮痛薬の種類に応じて副作用対策を講じます。
当然ですが、取扱者も限定され、保管・管理も厳しいものになっています。
癌などの痛みを取りたいと言う方にとっては効果的な治療になりますので、その都度、タイミングをみて、対象の在宅医療の患者さんにはご提案させていただきます。
2025/1/16 事務長の独り言26
現在の健康保険証がマイナンバーカードに移行します。
よくテレビなどで、「健康保険証は12月2日以降、新たに発行されなくなります。」と流れます。
これは、今お持ちの健康保険証は昨年12月2日以降は、新たに発行されず、その後は、マイナンバーカードの健康保険証利用を基本とするしくみになるというものです。ただし、お手元の健康保険証は、有効期限までの間、最長1年間は使用できるそうです。
マイナ保険証の使用するメリットは、①過去のお薬・診療データがその場でわかる。②患者さんの限度額がその場でわかり、高額な支払いが不要となる。③救急現場で適切な処置や病院の選定などの活用されるなどがあります。このような新しいシステムで心配されるのが個人の情報が盗まれるのではないかということですが、政府の見解では、マイナンバーカード12桁を知られただけでは悪用できないシステムになっているとのことです。
また、生活保護受給者は、マイナンバーカードを医療券・調剤券として使えるようになります。
お住いの地域の福祉事務所の職員が、生活保護受給者の情報や医療券・調剤券情報を事前にシステムへ登録することで、医療機関・薬局において生活保護受給者の情報を確認することができます。ぜひ、生活保護受給者の方もマイナンバーカードを取得することをお勧めします。
2025/1/9 事務長の独り言25
高齢者のヒートショックを無くすために
12月から2月の冬場に起こりやすい浴槽での事故としてヒートショックがあります。ヒートショックとは急激な温度の変化によって血圧が大きく変動するなど、身体に大きな負荷がかかることで起こり、失神、不整脈などの症状が見られます。重症の場合は死に至ることもあります。持病がない健康な方にもヒートショックは起こります。具体的には、人間の体は冷えると血管が収縮し、血圧が上昇する。 その状態で熱々の風呂に入ると、収縮していた血管が拡張し、血圧は一気に下がる。 この際、脳に血液を送る機能がうまく働かないと、気を失ってしまうというものです。
その対策としては、脱衣室や浴室の暖房、湯の温度の低め設定などの対策が必要です。 また、浴室は湯船の湯で温まっており多少なりとも脱衣室よりも室温が高いので、下着を脱ぐのは浴室の中で行う工夫も役立ちます。 また血圧の急上昇は脳卒中や心筋梗塞のリスクになります。 熱いお湯にいきなり肩までつかるのはNGです。事前に暖房器具で脱衣場や浴室を温めおくことも効果的です。
これは他人事ではありません。このえびの市でも身近に発生していることですので、ぜひ対策をとって、大切な方の命を守ってください。
2024/12/19 事務長の独り言24
2025年に備えるべきこと
みなさんは2025年問題という言葉を耳にしたことがありますか。これは団塊世代が後期高齢者となることで発生する社会課題です。
2025年には高齢者人口3500万人となり、人口全体の30%を超えると予想されていいます。急激な高齢化により発生する具体的な問題として、①医療・介護の需要が急増②社会保障費が大幅に上昇③現役世代の負担増加④労働力人口が減少⑤地域の過疎化が進行、などが挙げられます。この中で医療に特化して問題を挙げてみると①医療需要拡大②医療費の増大③医療従事者の不足④入院ベッド数の不足⑤医療格差の拡大などがあります。
この中で在宅医療と深くかかわってくるのが④になります。現在も最期を迎える場所として一番多いのが病院ですが、今後は、その入院ですら厳しい状況が出てきます。特にえびの市のような医療体制が漸弱な地域は、入院のことだけでなく、医療格差といって、高度な医療が受けらなかったり、特定の診療科では医療が受けられないなど、皆さんも一度は感じられたことがあると思います。
話を戻しますが、④の解決策として国が推進しているのが在宅医療になります。この機会に「まだうちの両親は大丈夫」と考えずに、早めの対策を執ることが、後々の自分への負担軽減になるかと思います。そのお手伝いをさんさんクリニックがいたしますので、なんなりと御相談ください。
2024/12/15 事務長の独り言23
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと5
久しぶりに投稿します。今回は、在宅医療を行う上で重要な患者さんとのコミュニケーションについてお話しします。
私達が行う在宅医療は、患者さんの御家族が、患者さんの生き様に尊敬の念を持ってお見送りするのをお手伝いするものでもあります。私は、お看取りに立ち会うたびに、「患者さんは本当に御家族から愛され、また患者さんに向けられたその愛情は、これまで患者さんが御家族に向けられた愛情でもあるんだな」と痛感させられます。このお見送りのお手伝いに欠かせないのが、日頃からの御家族とのコミュニ―ケーションであります。日頃から、御家族と患者さんの生い立ちや終末期の過ごし方などをお聞きする中で、私たち在宅医療が恣意的なものになっていないか、患者さんの尊厳を大事にしているかなどのチェックに役立っています。
さんさんクリニックは、患者さんはもちろん、その御家族とたくさんコミュニケーションをとりたいと考えております。それが患者さんのためになるものと信じています。
看取りついて何か御質問、御意見などあれば遠慮なく、御連絡ください。
2024/11 /23 事務長の独り言22
高齢化社会を目の当たりにして思うこと6
今回も、認知症の高齢者を抱える家族の現状についてお話しします。
さんさんクリニックへ在宅医療を依頼される方で一番多いのがケアマネさんで、次が御家族若しくは患者さん御自身になります。
このうち、ケアマネさんや御家族の方からの依頼で最近目立つのが、患者さん自身の受診拒否です。受診拒否に至った理由は様々で、病院での待ち時間がおっくうになったとか、自身はどこも悪くないので診てもらう必要はないなどです。しかし、実際の理由は患者さん御自身しかわかりません。
明らかに物忘れや、短期記憶が消えたりするなど認知症の疑いがある患者さんは特に受診拒否の姿勢が強く、これを懐柔させ、受診させることは至難です。しかし、明らかに患者さんの病気の進行が疑われる場合などは、早期に診察の必要があります。
私達は、あの手この手でやり方を変え、なんとか初回の診察にたどり着けているのが現状で、2回目の訪問もハードルが高いものとなっています。
この様なお悩みを抱えている御家族の方は、遠慮なく、当院でも自治体担当課にでも御相談ください。
良い方向へ向かうアドバイスなどができるかも知れません。
2024/11 /19 事務長の独り言21
高齢化社会を目の当たりにして思うこと5
今回は、認知症の高齢者を抱える家族の現状についてお話しします。
患者さんは軽度の認知症の一人暮らしで、生活については介助の必要もなく、ひとりできるという方で、子供さんらは県外にいるというパターンです。この様な環境の患者さんは多くおり、子供さん達の考えや世話の程度も様々です。
この患者さんの今後を考える上で一番に考えないといけないのが、患者さんの身の安全です。認知症ですので。徘徊であったり、食事が上手に摂れないなど、ひとつひとつの行為が命に係わってきます。
子供さんたちが県外にいますので、子供さんらは施設での生活を希望しますが、患者さんは頑なに、自宅での生活を希望されます。この様なケースでスムーズにグループホームに入所できたという方もいれば、ケアマネ、訪問看護、ヘルパー、薬剤師、医師、それに近所の方々の支援により、多くの方の目で見守っているというパターンもあります。
なにが正解かはありませんが、患者さん、そしてその家族が望む生活を尊重しながら、みんなストレスなく、いろんな議論や検討を繰り返していき、正解に近い答えを導き出していくのが良いのかなと、多くの患者さんをみて感じます。患者さん、その家族の意見というのが一番尊重されなければなりませんが、ケアマネ、訪問看護等、日頃、患者さんを近くでみている方々の意見というのも取り入れることで、何かしらの方向性ややり方というのも見えてくるものと思います。
一番は、患者さんの身に危険が及ばず、穏やかに過ごせる方法としてなにが最善か、議論、検討することが一番だと感じます。
2024/11 /9 事務長の独り言20
高齢化社会を目の当たりにして思うこと4
今回は、認知症の高齢者を抱える家族の現状についてお話ししますが、まずは「認知症」とはどのような病気なのか、厚生労働省が示している資料を基に説明していきます。
認知症とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。日本では高齢化の進展とともに、認知症の人も増加しています。65歳以上の高齢者では、平成24年度の時点で7人に1人程度とされ、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されています。なお、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害の人も加えると4人に1人の割合となりますが、軽度認知症の方が全て認知症になるわけではありません。また、65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」と呼んでいます。今日、認知症は誰もがなりうる病気と考えられています。
認知症によるもの忘れと似たような現象に「加齢によるもの忘れ」があります。ここで認知症との違いを例を示して紹介します。
体験したことの一部を忘れる(例:朝ご飯のメニューを忘れる)のは加齢によるもので、全てを忘れる(例:朝ご飯を食べたことを自体忘れる)のは認知症によるもの忘れ。
物忘れの自覚があるのは加齢によるもの。ない(初期には自覚があることが少ない)
日常生活への支障がないのが加齢によるもの。支障があるのは認知症によるもの。
症状の進行が極めて徐々にしか進行しないのが加齢によるもの。進行するのが認知症によるもの忘れ
以上、認知症による症状について簡単にお話ししました。次回以降は、認知症の高齢者を抱える家族の現状についてお話しします。
2024/11 /5 事務長の独り言19
高額療養費制度と自己負担限度額について
今回は、治療費に関係してくる高額療養費制度と自己負担限度額についてお話しします。
高額療養費制度とは、重い病気などで長期入院したり、治療が長引くと、医療費の自己負担額が高額となります。そのため、家計の負担を軽減できるよう、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される「高額療養制度」があります。70歳未満、70歳以上のそれぞれについて、所得に応じて自己負担の上限が設けられています。患者負担をさらに軽減するため、「世帯合算」という仕組みもあります。1回の窓口負担では高額療養費の支給対象にならなくても、複数回の受診や同じ世帯の他の人(同じ医療保険の加入者に限る)の受診について、窓口で支払った自己負担額を1か月単位で合算することが可能です。合計が一定額を超えた場合、超過分が高額療養費として支給されます。
今一度、自分は高額療養費制度のどの枠組みに入るのか、いくら以上であれば治療費を払わなくて良いのか、確認することをお勧めします。なお、自分の自己負担限度額を知らないという方は、行政にお尋ねください。
次回は、これらひとつひとつを細かくお話ししていきたいと思います。
2024/10/25 事務長の独り言18
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと4
今回は、サービス担当者会議についてお話しします。
介護保険でサービスの提供を受けている患者さんや家族の方は、何度も耳にして、その会議に参加されておりますので、おわかりかと思います。
サービス担当者会議とは、ケアプランを作成した介護支援専門員(ケアマネ)が中心となって、サービス利用者によりよりサービスを提供をするための情報を共有したり、意見を交換したりする会議のことです。主な参加者は、ケアマネ、医師、介護関連スタッフ、リハビリスタッフ、訪問看護師などで、このほかに必要に応じて他のサービス提供者の参加を呼びかけます。会議のタイミングは、ケアプランの作成・変更時、何らかのトラブル発生時、介護認定の更新時などです。
会議の主な目的は「よりより介護サービスを提供するため」ですが、さらなる目的には、「患者さんとその家族が安心して毎日を過ごせるようにため」が挙げられます。そのため、会議の主体は、患者さんとその家族になります。
「事務長の独り言17」でお話しした、家族での介護が難しいというのも会議を開くタイミングでもあるかもしれません。
まずはケアマネに御相談してください。適切なアドバイスをされることと思います。
2024/10/25 事務長の独り言17
高齢化社会を目の当たりにして思うこと3
この「事務長の独り言」は、仕事を通じて、都度、感じたこと、思ったこと、考えさせられたことを、私なりの言葉でアップしています。これは、在宅医療に従事している私たちが知らないことは、市民の方も知らないだろうという勝手な思いから載せていますのでご了承ください。
今回は、在宅での看護が難しく、施設入所を考えているいという方々のお話しです。
在宅医療を望まれる方のほとんどが、自宅での看取りまでを希望されています。しかし、家庭の事情により、施設入所に切り替えなければならないという方も多くいらっしゃいます。理由としては①家族も高齢で、自宅での介護が厳しい②患者さんの認知症が激しく、家族では24時間の見守りが厳しい③独居高齢者で、夜間に不穏な行動をする、などなど様々です。
在宅医療は、在宅医療を含め様々な面から暮らしを支えるしくみ、「地域包括ケアシステム」の環境があって、患者さんは安心して御自宅で療養できます。しかし、このような万全な体制で患者さんを支えていても、その周りにいる家族や親戚、近所の方々にご負担が発生していては上手く回っているとは言えません。
この様なご負担を感じたら、ケアマネさんや行政に御相談してみてはいかがでしょうか。
新たなサービスの提案やサービス体制の見直し、施設入所のアドバイスなどを受けて考えてみてはいかがでしょうか。
サービス体制の見直しにより上手く回ることもあります。当院でも御相談は受けておりますのでなんなりと。
2024/10/18 事務長の独り言16
高齢化社会を目の当たりにして思うこと2
今回は、静かに進行していく病と、家庭崩壊についてお話しします。これは高齢者夫婦のお話しになります。
高齢者によるご夫婦は、自分の生活の身の回りのことで精一杯で、御主人、奥様のことをお互いに気遣ったり、気に掛けることが難しくなります。
そこで心配されるのが、何らかの病にかかっていることを見過ごしたりすることです。特に、心の病は、日頃一緒に生活していると、変化に気づき難いところがあります。早期に専門医に診てもらうことで改善する病も、放置することで徐々に悪化してしまい、治療に多くの時間を要してしまうこととなります。
また、ここで心配なのは、心の病により何もしたくない、動きたくないという態度が、一緒に生活する相手方の気に障ったり、時には暴力的な言動や行動に移ることです。この行きつく先が、時々ではありますが痛ましいニュースとして流れることがあります。
一緒に生活していると、日々の変化に気づき難いものです。その為、時々、顔をみせるお子様や御親戚、近所の方々の気づきに頼るしかありません。
ぜひ、高齢ご夫婦の御自宅に行った際は、ご夫婦の顔色や体調の変化はもちろん、これまで整理されていた家の中や庭が荒れていないかなど、確認して頂ければと思います。何らかの気づきを感じたら、行政などに御相談ください。(当院でも構いません。)
2024/10/17 事務長の独り言15
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと3
「事務長の独り言7」では、「在宅医療は家族の協力、家族と医療関係者とのコミュニケーションが大事」というお話をしました。この中で特に大事なことが、在宅医療への御家族の理解です。
患者さんの身体の状態、生活環境によっては、24時間365日、患者さんを見守る必要な方がいらっしゃいます。しかし、在宅医療の内容(医療費を含む)を提示すると、24時間の見守り(緊急時の対応)は必要無いと判断される方もいらっしゃいます。
在宅医療を望まれる患者さんの御家族は、患者さんの現状を良く理解していただき、症状によってどのような対応が想定されるのか、実際に発生した場合、自分らで対応できるのかなどを良く話し合われることをお勧めします。前にお話ししましたが、24時間の対応となった場合、訪問看護師等と連携し、対応致します。
以上、前回の事務長の独り言7の補足になります。疑問点等があれば、なんなりと当クリニックまで御相談ください。
2024/10/11 事務長の独り言14
自宅で看取ることについて2
前回、「事務長の独り言9」では看取りに対する社会の変化について、軽くお話ししました。今回は、少し実務的なものについてお話しします。
通常、世間一般的に、病院以外で人が亡くなった場合、警察を呼ぶという認識を持たれている方が多くいらっしゃるかと思います。当然、亡くなられた方の遺体に異常がある場合は呼ばなければなりません。
しかし、在宅治療(訪問医療)を継続して受けている患者さんについては、警察を呼ぶ必要はありません。これは自らの診療管理下にある患者さんが、生前に診療していた傷病に関連して死亡しており、異常死体ではないからです。当然、夜中などに息を引き取る患者さんもおり、医師が立ち会えない場合もありますが、医師が死亡の際に立ち会わず、生前の診療後24時間以上経過していても、死亡後に改めて診察して生前に診療していた傷病に関連する死亡と判定できる場合にも死亡診断書は交付できます。
現在、さんさんクリニックでも、訪問看護師と連携してお看取りを行っていますが、患者さんの御家族の御協力のもと、穏やかにお看取りできています。当院の現在のお看取りの体制等について御質問等があれば、遠慮なく御相談ください。
2024/10/4 事務長の独り言13
高齢化社会を目の当たりにして思うこと1
今回も話が飛びますが、その日に考えついたことをお話ししてますのでお許しください。
在宅医療を依頼される御家族の中には、一人暮らししている患者の両親に在宅医療を勧めても「俺はまだ自分でできる。他人の力は借りん。」と拒否されている方も多くいらっしゃいます。性格的なものもありますが、育ってきた環境から、自分の今を受け入れられず、また他人様には迷惑は掛けられないという強い思いがあるかと思います。えびの市でいえば地域包括支援センター等の力を借りて、一緒に説得されている御家族もいらっしゃいますが、なかなか壁は高く、難儀しているというお話を良く聞きます。
解決策になるかどうかわかりませんが、御家族の方は日頃から御両親とコミュニケーションをとる際に、一人で生活していくことが難しくなった際の将来のことをお話ししてみたり、その過程で、介護保険等を使った多くのサービスがあることや、地域包括支援センターなどの相談窓口あることなどを口に出すことも一策かと思います。
患者さんやその御家族と話をしてみると、介護保険や医療保険についての知識や、当然、それに付随するサービスの内容、相談先を知らない方が多くいらっしゃいます。ぜひ、この際に、少し調べて、御両親にお話ししてはいかがでしょうか。
私達もできる限りの相談にお応えしていきたいと思いますので、なんなりとご連絡ください。
2024/9/28 事務長の独り言12
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと3
今回は「薬剤師」についてお話しします。
在宅医療では、処方薬を薬局で受け取るだけでなく、薬剤師が患者宅や施設を訪れ、薬を持参して説明や服薬指導もできます。(介護・医療保険を利用して、別途費用がかかります。)患者のもとを訪れた際に残薬のチェックや整理、部屋の様子を確認したり、服薬支援(指導)をおこなったりします。患者が飲みやすい薬の種類や形状を医師に提案することもあります。また、訪問看護師同様に、医師には話していないことを薬剤師に伝え、それが治療方針を判断する上で有益な情報であった場合もあります。
訪問に対応している薬局と対応していない薬局がありますので、事前に調べておくことをお勧めします。
2024/9/26 事務長の独り言11
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと3
前回の「ケアマネ」に続き「訪問看護師」についてお話しします。
在宅医療で密接に関わる事業所といえば、「在宅診療所(医師)」「介護支援事業所(ケアマネ)」「訪問看護ステーション(看護師)」「薬局(薬剤師)」になります。他、ヘルパーさんや訪問リハさんなど、多くの方が関わっていますが、今回、あげさせてもらった業種は、在宅診療所が特に関わることが多い業種になります。
では、「訪問看護師」についてお話しします。患者さんの自宅を訪れて、療養上必要なお世話や診療補助を行う看護職(看護師・準看護師・保健師・助産師)です。健康状態のチェック、点滴注射、褥瘡、創傷処置などの医療的支援、栄養管理や排泄管理、入浴介助などの清潔ケアなどの生活支援などが、主治医の指示に沿って行われます。
訪問看護師は、患者の療養生活全般を支えてくれる心強い存在で、「医師には言えないが、看護師には言える」という患者さんもいます。医師と患者、家族の間に立って、お互いの言い分をうまく伝えてくれる調整役になってくれます。
そして、在宅医療で看護師に最も頼りたいのは、家族ケアです。患者さんと一緒に過ごせる喜びや安心感とともに、家族は介護疲れや不安、時には不満などのストレスと背中合わせです。そんな家族に寄り添い、労りながらも、医療従事者として家族の健康状態にまで気を配れるのは看護職ならではです。
えびの市では、訪問看護師は「訪問看護ステーション」に在籍しております。当院に御相談いただければ、更に詳しい訪問看護師の仕事内容について御説明いたします。
2024/9/23 事務長の独り言10
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと2
いろいろと話題が飛びますが、その日、その日に頭の中にぽっと出たことを書いていますので、お許しください。
今回は、在宅医療がスムーズに機能するために必要な他職種の医療関係者についてお話しします。
私自身、この世界で働き、まだ1年ちょっとですが、特に関りがあり、私たち在宅医療クリニックと車の両輪のような関係性にあると考える他職種についてお話します。
まずは「介護支援専門員(ケアマネジャー)」です。
通称「ケアマネ」と呼びますが、介護保険サービスを利用するためには、介護サービス計画(ケアプラン)が必要です。患者さんや家族が、どのような生活を送りたいか、またどのようなことに困っているかなどをヒアリングし、介護保険サービスなどを利用して希望の実現や課題解決を図ります。利用者、家族にとっては伴走者であり、今後の人生設計を一緒に考えてくれる人でもあります。
患者さんに関する様々な情報はすべて、ケアマネのもとに集まるといっても過言ではありません。集まった情報をもとにケアプランを変更するなどの対応策を考えたり、各事業者に連絡をとったりして調整をします。つまり、ケアマネは他職種連携の要、指揮官的存在とも言えます。
ケアマネージャーの他に「訪問看護師」「薬剤師」の方々がいらっしゃいますが、ケアマネジャーで熱く語り過ぎたため文面が長くなり過ぎましたので、次回、「訪問看護師」「薬剤師」の役割についてお話しするとともに、私ども在宅医療クリニックとの関係性についても説明できればと考えています。
2024/9/22 事務長の独り言9
自宅で看取ることについて1
看取りとは、いろんな解説書によれば、元々は「病人のそばにいて世話をする」「病人の看病をする」という意味の言葉でした。
しかし、最近では「人生の最期における看病を指す」ようになり、「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」を意味するようになりました。
本人の希望を踏まえつつ、無理な延命治療を行うことなく人間の尊厳を保ったまま亡くなる支援をすることが看取りと言えます。
無理な延命治療は行わず自然な形で死を迎える尊厳死への関心が高まったり、住み慣れた環境での看取りを希望する方も増えているなど、死への意識や考え方が時代とともに変化してきていますので、この機会に、家族を含めて話し合われるのも良いでしょう。
ただし、自宅での看取りは、少なからず家族へも介護の負担が生じます。私達のような在宅医療クリニックや行政、民間サービスなどを効率良く併用しながら、介護の負担が一部の方にかからないようにすることが大事です。
次回は、看取りの現状などについてお話しできれば考えています。
2024/9/20 事務長の独り言8
患者さんの言動で印象に残っていること3
久しぶりに患者さんの言動で印象に残っていることをお話しします。
今回は、「どこどこの〇〇さんと同じ薬を出してくんない。効くげな。」という言葉です。特に安定剤や睡眠薬などのお薬の会話で出てきます。
確かに、えびの市内の高齢者の方が飲まれているお薬をみてみますと、同じお薬が多く、その大半が依存性や効き目が強いものが多くみられます。
お薬は、医師が患者さんのお身体や生活環境などをお聞き、また調べた上で処方するもので、また、そのお薬は一つ二つでなく、数多くあります。
患者さんのお身体は、ほかの方と同じではありません。現在の症状や持病、現在飲まれているお薬との相性など、医師は患者さんと向き合い、診察した上で、お薬を処方します。当院では、その処方の基本として、依存性が少なく、体の負担とならないお薬を選定してご提示しています。
また、時には、患者さんの身体の不調が、現在飲まれているお薬の影響からきていることも排除せずに、お薬の減薬、変更等での処方の提案もいたします。
私達が初診時に「このお薬はなんででているんですか?」と聞くと「わからん」という回答が多く聞かれます。
今一度、自分が飲まれているお薬をみて、「このお薬はなんのために飲んでいるだろう」と考えるのも良いかもしれません。
2024/9/13 事務長の独り言7
在宅医療(訪問診療)がスムーズに機能するために必要なこと1
えびの市で在宅医療をやってきて、「在宅医療は家族の協力、家族と医療関係者とのコミュニケーションが大事だな~」とつくづく感じます。
在宅医療がうまく機能している場合は、患者さん、御家族、医療関係者とのコミュニケーションがうまくいっているときです。逆に、うまく機能していないときはその逆です。特に御家族の姿がみえず、またご家族の声が医療関係者に届かない場合は、患者さんの体調に異変があった場合に、スムーズにことが運ばないケースがあります。
えびの市の場合、御両親がえびの市、その子供は県外というパターンが多くみられます。子供の方が県外にいても、コミュニケーションが取れていれば、在宅医療をする上で、まったく問題はありません。ほとんどの方が私どもさんさんクリニックにご協力いただいており、ことがスムーズに運んでいるので、日頃から感謝しているところです。
えびの市で在宅医療に従事し、この間、一組か二組程度、御家族の姿や協力が望めず、結局は、医療費が外来よりも少し高いという理由や在宅医療は何をやっているのかわからんという理由(この患者さんの御家族は、一度も診療行為に立ち会ったことがありません。)で、在宅医療を離れていかれました。この場合、一番の被害者は患者さんです。在宅医療が必要なのに、御家族の協力が望めず、必要なタイミングで医療が受けられません。在宅医療は、患者さん、その家族、医療関係者がにこにこと笑いながら、時には心配しながら、同じ気持ちを共有しながら進めていくものです。(おひとりでお住いの患者さんもいらっしゃいますが、その場合は、患者さんと医療関係者でうまくコミュニケーションをとっていっています。)
これからも在宅医療に御理解と御協力お願いいたします。
2024/9/7 事務長の独り言6
「リビングウィル」を知っていますか?2
前回、「リビングウィル」についてアップしたところ、「リビングウィルでどんなことを聞かれるの?」といったご質問がありました。ここでリビングウィルの内容について、簡単ではありますが、ご説明いたします。
希望調査内容
①痛みや苦痛について ➡□できるだけ抑えてほしい □自然のままでいたい
②急変時対応について ➡□なるべく自宅で対応してもらいたい □救急車を利用して、病院で対応してもらいたい。
③終末期を迎える場所 ➡□自宅 □医療施設 ※①②③には、いずれも「□その他」という項目があります。
④終末期になったときの希望(□希望する □希望しない □今はわからない のいずれにかに☑)
◇心臓マッサージなどの心肺蘇生 ◇延命のための人工呼吸 ◇昇圧剤に血圧維持 ◇胃ろうによる栄養補給
◇鼻チューブによる栄養補給 ◇点滴による水分の補給
等になります。
前回もお話ししましたが、この希望は、何度も修正されても構わないものですが、必ず、御家族、医療チームとは情報共有が必要なことですので、関係者へはお伝えください。
より良い自分らしい最期を生きるために、この機会に御家族で話し合われてはいかがでしょうか。
2024/9/5 事務長の独り言5
「リビングウィル」を知っていますか?
リビングウィルという言葉を初めて聞かれた方が殆どかと思います。
リビングウィルとは、「生前の意思」あるいは「遺言」という意味で、終末期医療やケアについての意思表明書になります。
また、公益財団法人の日本尊厳死協会では、「事前に医療・ケアの選択について意思表示しておく文書」と定義しています。
人生の終末期が訪れたとき、どのような処置を望むのかは本人が決めることです。いざというときに備えて、元気なうちに希望する医療やケアについて書き残しておくものになります。(患者本人が意思表示できない場合は、家族等)
これは、厚生労働省が発表した「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などによるものを根拠に実施しているもので、さんさんクリニックでも、前回、お話しした「かかりつけ医」として在宅医療に関わることになった患者さんには、必ずお聞きしています。
ここでいう最終段階には、がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3カ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数か月から数年にかけ死を迎える場合があります。どのような状態が人生の最終段階かは、本人の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄です。
この機会に、自身や家族の最期の生き方について考えてみてはいかがでしょうか。
当然、この考えや意思は、その時々の考えで変化しても良いもので、それらの意思表示も都度、医療チームにお伝えください。
2024/8/24 事務長の独り言4
患者さんの言動で印象に残っていること2
私達在宅医療を専門とする医療機関は、在宅医療の相談を受ける際に、必ず、現在の「かかりつ医」についてお聞きします。その際、「かかりつけ医は・・・? どこけ。いっぱい病院に行っちょるからわからん。」といった返答を良く耳にします。
ここで「かかりつけ医」についてご説明いたします。
「かかりつけ医」とは、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。とあります。
分かりやすく言えば、「患者さんの近くに居て、何でも相談できるお医者さん」ということになります。
在宅医療ではこの「かかりつけ医」にしてもらえるか、してもらえないかで、その後の患者さんの対応が変わってきます。「かかりつけ医」は患者さんのお身体を一番良く知っているお医者さんですので、「かかりつけ医」になることで、24時間の対応が可能となります。
さんさんクリニックに在宅医療をお願いしたいが「かかりつけ医」は別にあるので「かかりつけ医」にはできない、という患者さんもいらっしゃるかと思います。そういう方は他院での治療状況が分からないため24時間対応はできませんが、往診という形で患者さんの力になることができます。この機会に、今一度、御自身の「かかりつけ医」について考えてみてはどうでしょうか?力してください
2024/8/19 事務長の独り言3
患者さんの言動で印象に残っていること1
昨年5月にさんさんクリニックを開業して1年が過ぎました。その間、患者さんやその家族の方から聞く言葉で印象に残っているものについてお話します。
まず最初は、「病院変わるのは〇〇医院の先生に悪いがよ。もう〇十年の付き合いじゃっで」という言葉です。私達在宅医療を行う医療機関としては、「患者さんはそういうところにも気を遣っているんだ。」と気付かされ、また、えびの市民の義理堅さを感じる瞬間でもあります。
在宅医療は、えびの市内の病院やクリニックの先生方からも御紹介を受けます。そういう患者さんは、それまでのかかりつけ医と十分話をされ、在宅医療に移行しますので、そのような心配はないのですが、それ以外のアプローチにより相談があった場合は、時々ではありますが「病院変わるのは悪いがよ・・・・」などと言われることがあります。
在宅医療は、患者さんをそれまで診てくれていたかかりつけ医との連携なしには上手くいきません。在宅医療への移行時には、かかりつけ医から患者さんに関する詳細な情報をいただき、それを基に在宅医療を開始しますので、突然、治療方針やお薬の内容がガラッと変わることはありません。当然、それまでのかかりつけ医とは、その後も必要に応じて連携を取り、患者さんをサポートをしていきます。また、いつでも在宅医療を止めて、かかりつけ医への受診を再開しても何も問題ありませんし、さんさんクリニックは再開に向けサポートしていきます。
さんさんクリニックもこれから信頼されるよう地道に実績を積み上げていきますので、遠慮なく、気になるようなことがあれば御相談ください。
2024/8/15 事務長の独り言2
それも老老介護?
老老介護の定義については、前回、簡単にお話ししましたが、今回は、これも新たな老老介護になるのでは?・・ということが、訪問先等で良くみかけますので、ご紹介いたします。
患者さんの子供さんは県外で、両親は住み慣れた実家で生活されている場合、患者さんの様子は近くに住む親戚の方がみられていることが多くあります。これ自体、ごく自然のことですが、患者さんの年齢が上がっていくにつれ、周囲の親戚の年齢も比例して上がっていきます。
そういった場合、どういうことが起きるかというと、様子をみていた親戚の体調などが悪くなったりした場合、自分のことで精一杯となり、患者さんのことまで手が回らなくなるということが起きます。前回もお話ししましたが、一人の方に負担が掛かることにより、共倒れになる確率が高くなりますので、国や自治体のいろんなサービスを取り入れるなどして、多くの目で患者さんを見守る体制を作ることが大事です。
一例として、当クリニックのような在宅医療専門のクリニックを中心とした、地域包括ケアシステムを検討されてみてはいかがでしょうか。患者さんを中心とした周囲の方が笑顔で過ごすことができるよう、さんさんクリニックはお手伝いいたします。
2024/8/10 事務長の独り言
それって老老介護では?
老々介護の定義は、家庭の事情などにより65歳以上の高齢者が、高齢者の介護をせざるえない状況のことで、主に、60歳代を超えた高齢の夫婦などのことを指す場合が多いようです。このような場合、介護する側が介護疲れで入院するなどの共倒れする危険性や、最悪の場合は介護疲れにより死を選択されるケースもニュースなどでみます。
このような場合は在宅医療を中心とした各種サービスを利用して、特定の方に介護の負担がないような選択をする必要があり、これを患者さんに理解させることが必要です。患者さんは往々にして「俺はそんな歳でもない。人を自宅に入れたくない」などと自分が置かれた状況を理解できずにいます。そのような場合は、家族の方が行政に相談するなどして、まずは動いてみてはいかがでしょうか。
介護で重要なことは「特定の人に介護の負担がかからない」ということです。受けられるサービスを受けて、患者さん、その周囲の方が笑顔でいられることが大事です。決して一人で悩まずに、周囲の方に相談してください。さんさんクリニックでも相談にのりますので、お気軽に。