在宅医療(訪問診療)とは

 在宅医療とは、諸々の理由により通院が難しくなった患者さんが、ご自宅で医療サービスを受けられるしくみです。このうち、医師が行うものが訪問診療で、住まいで診察、治療、お薬の処方などを受けられます。なじみのある定期外来通院では、みなさんが医療機関へ出向くものですが、定期訪問診療では、医師や医療スタッフが住まいにお伺いします。

 このような訪問診療が求められる背景について少しお話します。

 死亡者数は年々増加しています。年間死亡者数が最も多くなると予想されるのは2040年。2015年から約39万人増えると推計されています。

 一方、「人生の最期を迎える時に生活したい場所」の希望をみると、自宅や高齢者住宅、認知症高齢者グループホームといった在宅医療の提供が必要になる場所が30パーセント超を占めます。ところが、昔に比べて今は病院での死亡の割合が高い状況にあります。患者さんが最期を迎えたい場所の希望を実現する意味でも、訪問診療や訪問看護といった在宅医療の普及は大変重要になるわけです。

 近年は病院の機能再編や病床削減が進められていることもあり、患者さんができるだけ長く自宅で生活できる環境づくりを在宅医療で後押しすることも、とても大切になっています。

 また、社会保障費の抑制が急務となる中、保険診療はできるだけコストがかからず、それでいて効果的な医療を提供していく流れが強まっています。この観点から、コストの高い入院を極力避けて、できるだけ在宅医療で診ることが不可欠になります。その中核的な役割を担う訪問診療を行う医療機関の数は、2011年から2020年までに2倍近くに達しています。

 都市部では、訪問診療を行うクリニックが増加し、その利用が拡がっていて、在宅医療が周知されつつあります。

 ぜひこの機会に、患者さん御自身、その御家族で、受けたい医療や人生の最期を迎える場所などについて、話し合ってみてはいかがでしょうか。

当院の訪問診療は以下のような方々にご利用いただけます

ご自宅での療養を望まれる方

病院への入院や通院が困難な方

寝たきりの方、または寝たきりに準じる方

退院後、ご自宅で療養生活を送られている方

ご自宅での在宅酸素やカテーテルなどの医療管理が必要な方

ご自宅で緩和ケアをご希望の方

認知症や精神疾患の方

計画的な医療サービス定期訪問診療+専用緊急ダイヤルで24時間対応

 計画的な医療サービス(=訪問診療)とは、毎週○曜日○時にと約束して医師が訪問し、診療、治療、薬の処方、療養上の相談・指導等を行うことです。当クリニックをかかりつけ医とされる方へは、緊急連絡先をお伝えし、定期的な診療以外に夜間や休日でも緊急時には24時間対応します。

なんでも気軽にお話していただけるかかりつけ医になるためにお約束すること

身体診療や検査結果も重要ですが、患者さんの訴えが最も重要と考えます。お話をしっかり聞ける時間を作ります。

診断がつかない、治療がうまくいかない時は、患者さんや御家族のご希望を伺い、適切な医療機関をご紹介します。

医療に直接関連のないことでも、お気軽にお話しください。わかる範囲でお答えし、できる範囲でご協力します。

専門的な医学用語はかみ砕き、なるべくわかりやすい言葉でご説明するよう心がけています。